飲んだくれ…のち、初稽古
元日は酒と雑煮におぼれると決めている。
関西出のおっとこ前は昔から薄めの鰹出汁に餅と菜物だけの簡単な雑煮が好物だったが、金沢も同様な雑煮が多く、昆布や醤油を出汁にネギを加えた簡単なもの。古より武家社会では「菜と餅」を一緒に食することで「名を持ち上げる」という意味でめでたいこととされていたそうだ。
まあ昔から知っていたわけではないが、元日行事として決して外すことはできない。
そして欠かすことのできないのが特に好みの紅芋の焼酎。日本酒と比べ度数の高い焼酎は臨戦時の戦意高揚に、負傷時の応急処置に、これも兵には欠かすことのできないアイテムだ…と勝手に思っている。
古き日本人に思いを馳せ、歳神様をお迎えし、心鎮めて元日を過ごしてみる。
まずはロックでぐびり
焼酎のあとはウォッカを楽しむ癖が…旧年中に出会ってしまった歴史深いズブロッカ。
気質が日本人に近いと勝手に思っている、ポーランドの有翼騎兵フサリアも嗜んだであろうか…
バイソングラスを一片漬け込んだズブロッカは桜餅の香りと形容されるほど甘い香りをはなっている。
いや…もう桜餅だ。
ロックでぐびり
ポロネーズに耳を傾けるとフレデリック・ショパンの、独立を目の当たりにできなかった祖国ポーランドへの想いが偲ばれる。
もう一杯ぐびり
かの葉隠にも大酒を慎んだとあるが、近世騎士はワンショットで、戦火に向かっていったのであろうか。謙虚な姿勢と大国に抗う精神は騎士道と武士道の交わりを禁じ得ない。
過去に2度日本に人命を救出されたポーランド人の想いはズブロッカの桜餅の香りが教えてくれるような気がした。
別の酒にいってみるー
ククリラムというネパールのラム酒とお近づきになった。ククリとはネパール山岳民族であるグルカ兵が携帯している短刀のことで、同じく甘い香りを存分にはなっている。
もう一杯ぐびり
ククリは女性の象徴部と形容されるらしいが、菊理媛神という加賀の国を見守る白山の神様がいる。女性の美しさと、ひきつける香りは、祖国を守る男には必須なのだ。
もう何杯めかぐびり
グルカとは『牛を守る者』…騎士道も武士道も侵略の為ならず。
…を守るために。
3杯目…ねる!
さて
本年の初稽古は野々市武道館
一階にはいつも大変お世話になっている管理人さんお手製の門松が出迎えてくれた。
2015年12月30日の北國新聞に掲載されたその門松は、ティッシュペーパー製の「葉牡丹」と木の枝に紙風船を付けた「繭玉」に竹、松、南天と自宅のもので拵えて製作費は無料だと言っていた。
とても気持ちよく初稽古を迎えることができました。その思いと出来栄えはプライスレスです。
そして二階にある剣道場には正月らしく鏡餅と御神酒が供えられている。
鏡餅もお酒も鏡開きというが、野々市の鏡開きはいつだろうか…一般的には11日、金沢では松の内が15日までなので、それ以降なのだろうか…
是非とも御酒の方の鏡開きには立ち会いたいものだ(笑)できれば焼酎に…
毎年野々市武道館での稽古初めには居合だけでなく狂言で必須の摺り足で道場内の周りを三周行うことにしている。
食っちゃ寝してた、怠けたボデーに摺り足三周は結構きついのですよ。
そして鏡餅と御神酒の前で狂言小舞を少し舞ってから居合を少し。ちょっぴり戦国時代の武士にでもなった気分で自己満足に浸るのが自分しきたり。
心技一体ではなく身心一如 by おっとこまえ