地獄極楽は心にあり<恐山>
とても爽やかあああ~!
アルコルもすきっと抜け!やる気スイッチが入ったように目覚めた東北旅第三弾
清々しい青森県むつ市の朝は、体内を洗浄してくれそうな澄んだ空気と、脳内を最適化してくれそうな鳥達のさえずりで、とてもじゃないが散歩しないわけにはいかない。
歓楽街は、仁王門が睨みを利かせる不退山常念寺(浄土宗)の参道(メインストリート)と下北半島鎮守 田名部(たなぶ)神社の参道が交差する、神社横丁と云われているゴミの少ない綺麗で古い呑み屋街だ。
昨夜はとってもおせわになりました(笑)
さてさて…神社横丁のメインストリートを真直ぐに進むと、恐山街道とも呼ばれる県道4号線に出くわす。
恐山は外輪山…蓮華八葉と呼ばれる剣山、地蔵山、鶏頭山、円山、大尽山、小尽山、北国山、屏風山の八峰に囲まれた盆地の総称であり、また活火山で宇曽利山湖と呼ばれるカルデラ湖が形成されている。それは上空から見るとハート型で、その谷間の部分に恐山菩提寺がある。
仏が座る蓮の花弁が八枚であることから、仏教の聖地と云われていること、火山活動による温泉湧出現象が見られ地獄さながらの風景が霊的な神秘性を増している。
外輪山を登りきり、火山の活動によってできた大きな凹地、つまりカルデラへと向かう下り坂になった途端。
活火山特有の硫黄の臭いがやんわりと鼻に侵入、つづいて聞きなれない鳴き声…ひよどりの群れのような、セミのような…こーろぎ?…
そして、髪型が変形しそうな横風…
宇曽利山湖を囲む大自然が織り成す高音域のサラウンドシステムが大音量を投げつけてくる。
ぜんぜん爽やかちゃーう!
もとい
そこには別世界が待ち伏せていた。キラキラ
外輪山を下り最初に正津川の上流域でもある三途の川が現れる。ここは宇曽利山湖への流入河川かと思いきや唯一の流出河川で北の方角…津軽海峡へと注がれている。
三途の川を渡れば冥土、しかしその前には奪衣婆と懸衣翁が待っている。
奪衣婆が亡者から剥ぎ取った衣類を衣領樹と呼ばれる柳の枝にかけ、その枝の垂れ具合で亡者の生前の罪の重さを計ると云われているが、ならば裸で!と思っても、服を着ていない際は、懸衣翁は衣の代わりに亡者の生皮を剥ぎ取ると云われている。
おっかない冥土への番所だ。(苦笑)
そして三途の川は太鼓橋を渡る。罪人は針の山に見えるらしいが、ここはまむしにも気を付けねばならないしポケモンGoやドローンも禁止だ(笑)
死して衣を剥ぎ取られ、審判を待ちつつも、まむしと空中撮影に注意しなければならない。でもかわいいモンスターたちに会えるかも❤的な番所である(笑)
まあそんなこと気にもせず車でブビっと菩提寺へ。
鳥のようなセミのようなけたたましい音は、更に大きくなる。
爽やかでないどころか、もううるさい❗こんなところ住んでられるか、賃貸解約だ❗くらいのうるささだ(笑)
付け加えるならば、泣き止む時がない。延々と一定のリズムにもならない鳴き声が響き渡り、気が狂いそうな耳鳴りのようだ。
朝6時半には境内に入れるのだが、月曜日ということもあって参拝客はとても少ない。総門を抜け参道を…まずはお参り。
子供の頃からずっと、怖い場所で霊がさまよっていると思っていた恐山。「恐」という字が子供心に一層恐怖心を煽ったのかだろうか、「わくわく!」というよりは「神妙」な気持ちで地蔵殿へ向かうが、なんだかピンとこない。「気」の切り替わりが無いというか、感覚の変化がない。綺麗な普通の観光地。
ドンカン??
永年にわたり想い続けてきた恐山に一抹の観光地感を覚え、さっさと次の目的地へ行こうと思ったが、まだ7時前。折角だから地獄巡りくらいはしておこう。
地蔵殿の右横らへんから順路に従って進むと、足下は剥き出しの火山岩へと変わる。
向かい風が強い。私の体に当たった風は後方でかるく渦を巻き、小さく砕けた火山岩が音をたててころがる。
その音はまるで、人が砂利を踏みしめたような音にも聞こえて、後ろから人がついてきているような錯覚におちいる。
所々に置かれた風車が「カラカラ」と音を立てて回り続ける。
石仏や積み上げられた小石たち。
石ころに書かれた死者の名。
持ち込まれた小さな石仏や人形。
そして人々の念。
ここで供養されている御霊(みたま)というよりは、供養する側の参拝者の強い念。…を感じる。なんだか泣けてくる。
が、北海道の大雪山と道東の一部だけに限られ、希少種に指定してされているヒメイソツツジ(姫磯躑躅)が辺り一面に生息し、花を手向けたようになっているのが美しい。
そして
血の池地獄という看板…
いいぞ!血の池地獄は子供の頃見た地獄絵図に必ず出てくる。生前の罪人たちが裸で鬼の形相で血の池で蠢いているのだ。
great!アメリカンな原色レッドの池を想像しつつ…
いいぞ!わくわく!
泣けていたはずなのに…急にテンション⤴
熊に注意!
急に行き難くなった(笑)注意と書かれてもなあ…でも折角来たしそろりそろりと行ってみよう。
どこかな…真っ赤な池は…あれか!これだ❗
透明やん…ちーん
そして…恐山一帯を休みなく奏でつづける何らかの鳴き声らしき音。
蝉だ!エゾハルゼミ(蝦夷春蝉)の大合唱!森林性の蝉で市街地で聞くことはできないが、5月下旬から7月にかけて、冷涼な地域の、ブナなどで構成された落葉広葉樹林に棲息するらしい。
エゾハルゼミの大合唱はこのあと訪れる十和田湖でも遭遇することになる(笑)
さて、そして賽の河原…
最初の三途の川の河原のことだが、不幸にも親よりも先に亡くなった子供が罰として石を積まされるが、鬼がそれを崩してしまう。何度も何度も繰り返すうち、最後には地蔵菩薩に救われる、という伝説だ。
賽の河原の直ぐそばには標高828m綺麗な三角錐の大尽山を中心とした外輪山たちと、まるで南国の砂浜をも想像させる宇曽利山湖と極楽浜。
地獄巡りではさまざまな想いが交錯したが、この砂浜ですきっと気持ちがはれる。
極楽と地獄は人のこころにあり、ひとつのものであるという仏教の教えがあるそうで、詳細は理解していない。が…
厳しい自然と豊かな自然、すべて含んでひとつの自然が存在する。ふたつの自然が存在していることではない。
人、社会など目に見えるもの見えないものもすべて、ひとつのものには最低でも二面性が存在する。
踏み込んで記したいこともあるが…ここではよしておこう。
恐山は人と自然の中にある極楽と地獄という精神世界を一か所で可視化してくれている場所だと強く思う。ここで何を考え何を思い、どう行動するかもその人次第で、善くも悪くもひとくくりに人なのだろう。
追記!((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル!
子供のころからずっと気に留めてきた恐山で、子供のころからなぜか嫌いだったヨモギに遭遇。
霊場アイスとヨモギを見ただけで身も心も凍える…
恐山はやはり恐ろしいところだな。合掌。。by おっとこ前