会者定離
明日死ぬかもしれない
それも唐突に
たった今、笑顔で会話していた仲間が断末魔の叫びとともに亡くなる
明日会う予定の仲間が目を覆いたくなるような死に様で帰ってくる
電話で大喧嘩しながら事故死した仲間
体の一部が転がっている、起きたばかりの事故現場
そして自殺
それだけではない
約四半世紀の間に事故や事故死を何度目の当たりにしてきたことだろうか…さっきまで笑顔だった人の人生がほんのきっかけで瞬時に無くなる。
パン!
まるで蚊や蝿を叩くかのように
言葉にならない叫泣響く通夜では、遺体の上に「守刀」が添えられていた。
夜伽の酒を酌み交わし、当時20代の私に50代の強面トラック運ちゃんが、ため息混じりに語ってくれた。
「運転手はな、いつも事故と隣り合わせなんや、せやからいつもな手元に短刀置いてるんや。守り刀やな。人様には絶対抜かへんで」
この世で生きるにも、あの世に行くにも「守刀」は日本人には必要なんだと話してくれた。
その光景は、映画で見る武術や時代劇などよりも、よりリアルに日本人であることとその歴史を実感できる瞬間でもあった。
刃先を顔に向けないように添えられている「守刀」を見たときに、そういえばハサミやナイフなど先の尖ったものは人に向けてはいけないと、幼い頃母に聞かされたことを思い出した。
日本刀の事や扱い方を知りたい
そう思った
人を殺傷するために開発された日本刀が武士の精神的支柱となり魂と云われ、その伝統が脈々と受け継がれている。
居合とのご縁もそう思うようになってからだ。
そう
明日死ぬかもしれない
だから
だから
つねに微笑み中道で
決して人には刃を向けず
ケチをつけずに比べもせず
非礼にあらずただ天真に
居合、能狂言、座禅、お茶、旅、酒などなど、いかなる嗜みもすべてひとつに通じているんだ。
一年後のいま
大きな感謝と会者定離の習いを肝に銘じ
まずは
呑もう
6月2日を「ぐうたら感謝の日」と勝手に決めたのび太の気持ちがよくわかる今日この頃、「風待月」とも云われる六月は湿度が高く兎角動きにくい。
背中押す 青東風舞う日を 満を持す
あわてないあわてない。ひとやすみひとやすみ。by おっとこまえ