太陽の塔
大阪万博で肩車し続けてくれた少々しんどそうな伯父に
「おーじちゃーんがーんばっーて~!」
と言葉のムチと悪魔の笑みをあびせ続けた、わたくし当時2歳半。
1970年3月15日から9月13日までの期間大阪で開催された「日本万国博覧会」での出来事を今でも伯父夫婦は楽しそうに聞かせてくれる。
そんなことなど覚えていないどころか、大阪万博など知る由もないのだが、当時住んでいた大阪から田舎の兵庫への行き帰りに利用していた中国自動車道では必ず太陽の塔を眺めていた。
ものごころつき始めた私にとって大阪のシンボルは、通天閣より太陽の塔であり大阪城よりエキスポランドだった。枚方パークでもいいぞ笑
あれから48年
「太陽の塔が内部公開される」と耳にすると、ずっと車中で眺めるだけだった太陽の塔どころか万博記念公園にも踏み入れたことがなかっただけに、ただただ「やっと行ける!」という思いだけで、すぐさま詳細を調べ惑うことなく予約した。
太陽の塔入館予約方法
事前に太陽の塔入館予約サイトよりQRコードを入手しておく
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太陽の塔がある自然文化園中央口のゲートにて「自然文化園・日本庭園の入園券(大人 250円・小中学生 70円)」を入手して入園する
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太陽の塔の右手下にある受付でQRコードを提示し「太陽の塔 入館券(大人 700円・小中学生 300円)」を入手すると、1970年の大阪万博当時に使用されていたスタンプを捺してくれる。
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予約時間の30分前から受付が可能で、10数名ずつ順に「地底の太陽」ゾーンからスタートし、復元された第四の「地底の太陽」を目の前にし説明を聞くことになる。そして1階部分の「生命の樹」のクラゲやアメーバがいる「原生類時代」から「三葉虫時代」「魚類時代」「両生類時代」「はちゅう類時代」を経て、クロマニョン人の「哺乳類時代」へと上に上って行く。そこが太陽の塔の両腕部分になる。さらにその上には進めないが、「太陽の空間」を真下から見上げ、地下の受付横の売店へ行ってから出口となる
太陽の塔内部へは1回1度きりしか入場できないが、自然文化園・日本庭園へは再入場でき、大人でも入場料が合計で1,000円以内で収まることと、近くの「EXPOCITY-エキスポシティ-」では入場無料なのがとってもありがたい!
さて
太陽の塔目前の中国自動車道を挟んだ向かいには「EXPOCITY-エキスポシティ-」がある。
大阪万博当時には「エキスポランド」があったが2009年(平成21年)2月をもって閉園し、2015年(平成27年)11月19日に「ららぽーとEXPOCITY」が開業した。
万博当時の初代観覧車(1970~1986)「ワンダーホイール」から2代目観覧車(1986~2009)「テクノスター」に変わり、3代目観覧車(2016~)「オオサカホイール」は全高123mの日本一高い観覧車でシースルーのゴンドラが72基あり国内で最も多い。
ガンダムもいればショーンもいる。子供だけでなく大人も楽しめる「アニポ」という移動遊園地や、海遊館が運営している「NIFREL(ニフレル)」という水族館、動物園、美術館のジャンルを超えたミュージアムなど、子供たちにはたまらなく楽しい、大人たちは骨が折れ腰が砕ける、そんなスポットが盛りだくさんだ。
1970年3月14日~9月13日 日本万国博覧会が大阪で開催され、故岡本太郎氏プロデュースのパビリオンのひとつとして建設された太陽の塔も閉会後には撤去される予定だったという。そんな太陽の塔もパブリックアートとして、大阪のシンボルとして、日本の遺産は言い過ぎだろうか、、いまでも当時の姿をとどめている。
東京国立博物館で考古学の遺物として陳列されていた縄文土器に、美術的な視点からその造形美を見出し日本美術史を書き換えたと云われる故岡本太郎氏。
太陽の塔は縄文期の土偶から感化されたものであるということも今までまったく知りもしなかった。
そして
日本万国博覧会のテーマである「人類の進歩と調和」
これに対しても
「人類は進歩なんかしていない。なにが進歩だ。縄文土器の凄さを見ろ。ラスコーの壁画だって、ツタンカーメンだって今の人間にあんなものつくれるか。」
「調和というが、みんなが少しづつ自分を殺して、頭を下げあって、こっちも六部、相手も六部どおり、それで馴れ合ってる調和なんて卑しい、ガンガンとフェアに相手とぶつかりあって、闘って、そこに生まれるものが本当の調和なんだ。」
故岡本太郎氏は太陽の塔で何を表現したかったのか様々云われているが、同1970年に起きた「よど号ハイジャック事件」では犯人が北朝鮮に亡命し、「瀬戸内海シージャック事件」では犯人は射殺され、故三島由紀夫は陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地に立てこもり割腹自殺を強行した。
そして万博開催中の4月26日には”アイジャック”と云われる、太陽の塔の最上部、黄金の顔の目玉部分に立てこもるという事件も起きた。
政治や権力に対して抗いの表現は人様々だが、故岡本太郎氏の表現の大胆さとユーモア、そして懐の深さを感じずにはいられない。
偶然であろうか同時期に東京国立博物館にて、特別展「縄文―1万年の美の鼓動」が「縄文の美」をテーマに、縄文時代草創期から晩期まで、日本列島各地で発見された土器や土偶が展示されている。
「縄文―1万年の美の鼓動」の公式サイトでは、故岡本太郎氏が見出した縄文の美が何点か閲覧でき、そこには太陽の塔に通じるものがきっとあるのだろうと思う。
「ガンガンとフェアに相手とぶつかりあって、闘って、そこに生まれるものが本当の調和なんだ。」
これは怒りの感情に任せた口論や喧嘩ではない、と信じる。by おっとこまえ