投稿日: 2023年2月19日

星祭り 節分追儺式2 new!

さる令和五年二月三日(金)、金沢市山の上町の日蓮宗 教徳山 妙圓寺みょうえんじにて星祭り・節分追儺式が行われました。昨年より多くの拝観者に恵まれ概ね大盛況に終わった。

氷点下に近づくほどさっぶい夕暮れに妙圓寺住職とお隣の本法寺住職による水行から行われた。見えていないがこの左横には藁鬼役も水行に参加している。ぎりぎりまで「一緒にしませんか…イッショニシマセンカ…」と誘われたが、あいにくだったな笑

日蓮宗妙圓寺での水行

振り返れば、来年は通常通り節分の日に追儺式しますよーっと連絡があったのは昨年12月中旬。そしてリハーサルは今年1月中旬で。 もうそういう時期なのか…と季節の移ろいの早さに戸惑いながらも、ひとまず鬼っ子たちの衣装の確認。前回と同じような感じでいけばいいのかなっと簡単に考えてしまい、あっという間にリハーサルの日に。しかも昨年大喧嘩した北國新聞が取材にくる。リハ当日は取材の為にとりあえず全員着付けて、昨年と同じようにやってみた。しかしそこである問題が浮上する。

それは前回もそうだったが、約2分程度で終了してしまい、ストーリーも解りにくい。たしかに2分は短いよねー、せめて5分はほしいよねー。と皆さん。新聞用の撮影が終了しひとまず解散したものの、約3分増やそうと思うと前回の倍以上ということに、しばし困惑する。今回は通常通り節分の日だからなあ、ちょっと間に合わないかなあ…節分…
ん?
節分といえば狂言にもあったなあ。
ん?
そうだ…台詞でも入れてみようか…。と急遽思い立つ。


・狂言「節分」 あらすじ
節分の日に豆を拾って食べようと蓬莱ほうらいの島から日本の地へ辿り着いた鬼は、たいそう草臥くたびれたので食べ物を貰おうと近くの家へ立ち寄る。
そこで出会った主の女にひとめ惚れしてしまい、数々のうたいで気を引こうとしたが、女は鬼の気持ちを利用して蓬莱の島の宝を騙し取ろうと目論んだ。
鬼は宝を渡せば女の亭主になれると思い込み、隠れ蓑、隠れ笠、打出の小槌を渡し、すっかり亭主気分になって疲れた腰を打ってくれと横になる。
宝さえ貰ってしまえばこっちのものと鬼を追い出すべく、女は「ようよう 豆をはやす時分で御座る。節分の豆を取出し」といって「福は内福は内、鬼は外鬼は外」と囃したてると鬼は去っていった。

とまあこんなところだが

・鬼が登場して最初の台詞
これは 蓬莱の島の鬼で御座る
今宵は節分じや
いつも節分の夜は日本へ渡る
当年も相変わらず日本へ渡り
豆を拾うて噛まがやと存候ぞんじそうろう

これとまったく同じでは面白くない…というかそれは駄目だろう。
というわけで、色恋沙汰は省くとして…

・追儺式のあらすじ
加賀の国より鬼門にそびえる卯辰山からやってきた白鬼は、今宵は節分だと聞いたものの、それがなにかわからないまま、里に住む人々から喰い物と酒を奪おうとする。
ところが親分の藁鬼は、もしかすると方相氏がやってきて我らを懲らしめるかもしれないと言ってなかなか来ないし、相棒の青鬼もなかなか来ない。
白鬼は不安になってウロウロしていると青鬼がやってきて、グズグズ言っている白鬼のお尻を引っ叩く。
怒った白鬼が青鬼と争っているところへ藁鬼がやってくる。
3匹で里の人々を威嚇し始め団扇太鼓を奪おうとすると、皆がそれを打ちたたき始めたのでたじろいだところへ方相氏が現れる。
方相氏の持つ、鉾や盾に葉が立たない鬼たちは武器を放り出して逃げ帰ってしまう。

…と、こんなあらすじにしてみた。

物語の冒頭から自分で身分と目的を語るところが狂言の面白さのひとつ。これを用いない手はない。

日蓮宗妙圓寺 追儺式での白鬼
・白鬼が登場して最初の台詞
鬼門にそびえる 卯辰の山より 
まかり出でたる 白鬼じや
今宵は節分と聞いた 
贅沢な喰い物と過分な酒が出されるそうじゃが
それを奪いに来た
ところで…
日蓮宗妙圓寺 追儺式での藁鬼と青鬼

少し狂言ぽく、白鬼に台詞をつけるだけで、ストーリーが解りやすくなるし、尺も稼げるが、さすがに時がないので、台詞のほとんどが白鬼の私で、少し青鬼にもお願いすることに。そして前日の夜に小一時間程度稽古するのみでぶっつけ本番を迎えた。

日蓮宗妙圓寺 追儺式での方相氏
日蓮宗妙圓寺 追儺式での方相氏と悪鬼

そして最後は恒例の鬼っ子たちによる豆まきが行われた。鬼っ子たちの足元を子供たちが四つん這いになって豆を拾う。鬼っ子たちは視界が狭く足元が見えにくいなか、下を気にすることなく歩き回り豆をまいていたが、子供たちは豆を拾うことに夢中になりながらも鬼っ子たちの足を軽やかによけてぶつかることはほとんどなかった。子供たちの動きのレスポンスの良さには驚かされるが、大人たちも鬼っ子の足をかいくぐり四つん這いで豆を拾っていた。

日蓮宗妙圓寺 豆をまく鬼たちとそれを拾う子供たち

ちなみに昨年の動画を改めて見返してみると5分弱だった。せめて5分くらいは…を目指した今回は8分ほどだった。人の感覚ほどデタラメなものは無いなあと痛感しつつも、前回から今回と、少しづつだが明らかに進化した。

日蓮宗妙圓寺 方相氏と悪鬼たち

そして更なる進化を試み仕掛けるため、伝統的な行事ではあるが、現代的な要素をもっと加えていきたい。そして追儺の会を発足させ、さらに金沢市の行事へ発展させていきたい。そのためには一緒に運営してくれる有志が必要です。次回は子供も参加する方向で鋭意制作ちうですが、15分~20分という短い行事とはいえ、面や衣装の制作、着付け、動きや台詞指導だけでなく、駐車場整理、受付、案内係などなど、多くのマンパワーが必要です。当サイトのお問合せフォームからご連絡いただければ大変有難く思います。

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能面を改造した白鬼面

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