投稿日:2020年9月28日 -エッセイ-

つちいじり

一年の内七十二日、土に神が住まうとされる日は、引越しや旅行はもちろん、土いじりなども凶事だという。土の神様が驚くのだそうだ。


そんなことは知らいでか
そんなことは気にしない


焼酎の水割り片手に土いじり。


鉢の植え替えに、培養土に赤玉土を混ぜる。
混ぜる。
混ぜる。
少しだけ腐葉土も混ぜる。
混ぜる。
混ぜる。
苦土石灰も混ぜる。
混ぜる。
混ぜる。
さんざん混ぜてもう一杯。

一年の内七十二日、春夏秋冬毎に四回に別けた十八日間を「土旺用事どおうようじ」略して「土用」と云うらしい。季節の代わり目でもある土用は、とかく体調を崩しやすい。軽い頭痛や腹痛、くしゃみが出たり、少し寒気がでてきたりすると、「もう土用か…」などと思ったりもする。


そんなことは知らいでか
そんなことは気にしない


目減りした土に赤玉土を追加で混ぜる。
混ぜる。
混ぜる。
培養土は追加せずに腐葉土を混ぜる。
混ぜる。
混ぜる。
さんざん混ぜてもう一杯。

季節ごとに十八日間も土いじりなどができないとなると、それはそれで不都合だ。という理由かどうか不明だが「間日まび」という、土の神様がどこかへ行ってる日があるという。その日は土いじりなどしても大丈夫だそうだ。


そんなことは知らいでか
そんなことは気にしない

そういえば…年に二度のお彼岸とやらも、季節の変わり目とやらで体調を崩しやすいから気をつけなさいね。などと聞いたことがあるなあ。お彼岸には邪気祓い健康祈願におはぎを喰らうそうな…。

そして結局気にしてカレンダーを眺める。
すると今日は土用の日ではなかった。
安堵してもう一杯。
でももうすぐお彼岸じゃねえか。
おはぎを妄想してもう一杯。


気にしなければそんなものなのかもしれない。でも、そんな不確かなものに心惑わされるのが人間なのか。

とかく日本には古来よりそういう不確かなこと…、しきたり、運勢、作法などなどが多い。がしかし、そんな日本人であることが誇らしくも思う。

満足してもう一杯。
ぐびっとやって、ハッと気づく。

土用の丑の日には「う」のつくものを口に入れると、体調を崩さずに過ごせるらしいと。

ほほう、それはウィスキーやウォッカのことだな。
今度の土用にでも呑もう
いやその前におはぎで焼酎だな。

青空を仰いで満足もう一杯。

つちいじり | 那岐介エッセイ

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