ためしぎり!は試切
昨年、居合之師 北島国紘にお教え頂いたことがある。
何かの機会のときに「試斬り」と書くことがあった訳だが…
「試斬り」ではなく
「試切」
であると、ご丁寧に一筆頂戴した。
う~ん
なぜだか解らない…
何故だか調べようともせず月日が流れ…
先日、日ごろお世話になっている鞘師の先生にお会いした。
「試斬りと試切はどちらを書くのですか?」と何気に質問。
「試切と書き、送り仮名は不要。試斬りと書くなら送り仮名は必要。まあどちらでも良いけどね」
う~ん
居合の師と刀剣界の師、御両人が「試切」と書くのだから、間違いないのだ!
「まあどちらでも良いけどね」…と言うお言葉は、どちらを書いたとしても、まあ意味はそれなりに伝わるから…と理解したのだが…
では何故「試切」と書くのだろうか…
当然なのかもしれないが、ネット上には根拠を示したサイトは見出せなかった…。
そういえば鞘師先生の御自宅を訪ねた際、「三ツ胴裁断」の金象嵌の試切銘が入った御刀を拝見した。(遺骸を三体重ねて裁断した意)
「三ツ胴裁断 山野加右衛門永久 花押」
寛文年間なので江戸初期から中期にかけてだろう。
試切銘が刻銘された御刀をいろいろ調べてみると、なにやらヒントが隠されているやも?
すると…
「三ツ胴裁断」を「三ツ胴切落」と刻銘された御刀もあれば
芳名の前に「切手」と刻銘された御刀もあった。(切った人という意)
調べる限り「試切銘」に関しては「斬」という文字は使われていない。
もう少し…にわかウンチクこぼして見る
「試切」という行為は、なにも日本刀だけではない。
包丁や丸鋸などを試験的に切ることことや、医学界では試験的に腫瘍などの組織を切除することを「試切」と書く。
この場合「しせつ」と読むらしいが…。
本来、刃物の切れ味を試すために「きってみる」のだから「切る」でしょう!
「切れ味を試すために、試し斬りをした」なんて…漢字の使い方…変でしょう!!←勝手に思ってるだけですから…
そこで仮説
日本刀だけでなく、あらゆる刃物で切ることのできる物やできることに関しては「切」を、日本刀でしか切らないもの…たとえば「斬首」「斬刑」「斬罪」などなどは「斬」を。
試切銘は日本刀だけのようだが、銘自体は包丁や剪定鋏、鉋などにも刻銘される。
もし包丁を著名な人物が試しに切ってみた場合、試切銘を刻銘したのでは?(笑)などと考えてみる…
よって「ためしぎり」は「試切」と書くのだ!…のかもしれない。
ウィキペディアに「試し斬り」のページがあったー!
無視ー!
この画像を見ただけでは、日本刀によるものなのか…手斧なのか…電気のこぎりなのかわからないだろ(笑)?
余談だが江戸時代には「様斬」というものがあった。
罪を犯し、二番目に軽い死罪となった人が斬首された後の遺骸を、「ためしぎり」していた。これを「様斬」と書いた。
因みに六種類ある死刑の中で一番軽い刑は「下手人」で、「斬首」されるだけで「様斬」はされなかった。
現代の時代劇では「下手人」は「犯罪者(殺人犯)」の代名詞になっているが、実際のところは死刑のひとつである。
南無…
最後に「鐔」と「鍔」はどちらを書くのですか?と質問。
「どっちでもいいよ」
愚問だった… byおっとこまえ