投稿日:2015年5月17日

ためしぎり!は試切

昨年、居合之師 北島国紘にお教え頂いたことがある。

何かの機会のときに「試斬りためしぎり」と書くことがあった訳だが…

「試斬り」ではなく


試切ためしぎり


であると、ご丁寧に一筆頂戴した。

う~ん

なぜだか解らない…

何故だか調べようともせず月日が流れ…

先日、日ごろお世話になっている鞘師さやしの先生にお会いした。

「試斬りと試切はどちらを書くのですか?」と何気に質問。

「試切と書き、送り仮名は不要。試斬りと書くなら送り仮名は必要。まあどちらでも良いけどね」


う~ん


居合の師と刀剣界の師、御両人が「試切」と書くのだから、間違いないのだ!


「まあどちらでも良いけどね」…と言うお言葉は、どちらを書いたとしても、まあ意味はそれなりに伝わるから…と理解したのだが…


では何故「試切」と書くのだろうか…


当然なのかもしれないが、ネット上には根拠を示したサイトは見出せなかった…。


そういえば鞘師先生の御自宅を訪ねた際、「三ツ胴裁断みつどうさいだん」の金象嵌きんぞうがんの試切銘が入った御刀を拝見した。(遺骸を三体重ねて裁断した意)

「三ツ胴裁断 山野加右衛門永久 花押」

寛文年間なので江戸初期から中期にかけてだろう。

試切銘が刻銘された御刀をいろいろ調べてみると、なにやらヒントが隠されているやも?

すると…

「三ツ胴裁断」を「三ツ胴切落」と刻銘された御刀もあれば

芳名の前に「切手きりて」と刻銘された御刀もあった。(切った人という意)

調べる限り「試切銘」に関しては「斬」という文字は使われていない。


もう少し…にわかウンチクこぼして見る

「試切」という行為は、なにも日本刀だけではない。

包丁や丸鋸などを試験的に切ることことや、医学界では試験的に腫瘍などの組織を切除することを「試切」と書く。

この場合「しせつ」と読むらしいが…。


本来、刃物の切れ味を試すために「きってみる」のだから「切る」でしょう!

「切れ味を試すために、試し斬りをした」なんて…漢字の使い方…変でしょう!!←勝手に思ってるだけですから…


そこで仮説

日本刀だけでなく、あらゆる刃物で切ることのできる物やできることに関しては「切」を、日本刀でしか切らないもの…たとえば「斬首」「斬刑」「斬罪」などなどは「斬」を。

試切銘は日本刀だけのようだが、銘自体は包丁や剪定鋏せんていばさみかんななどにも刻銘される。

もし包丁を著名な人物が試しに切ってみた場合、試切銘を刻銘したのでは?(笑)などと考えてみる…


よって「ためしぎり」は「試切」と書くのだ!…のかもしれない。


ウィキペディアに「試し斬り」のページがあったー!

無視ー!

何かで切られた竹

この画像を見ただけでは、日本刀によるものなのか…手斧なのか…電気のこぎりなのかわからないだろ(笑)?


余談だが江戸時代には「様斬ためしぎり」というものがあった。

罪を犯し、二番目に軽い死罪となった人が斬首された後の遺骸を、「ためしぎり」していた。これを「様斬」と書いた。

因みに六種類ある死刑の中で一番軽い刑は「下手人げしゅにん」で、「斬首」されるだけで「様斬」はされなかった。

現代の時代劇では「下手人」は「犯罪者(殺人犯)」の代名詞になっているが、実際のところは死刑のひとつである。


南無…


最後に「つば」と「つば」はどちらを書くのですか?と質問。

「どっちでもいいよ」

愚問だった… byおっとこまえ

何かで切られた棒に勝虫これは手斧でござる…

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